事例紹介インタビュー 「徳島の気候について」

トップ事例紹介インタビュー事例紹介インタビュー 「徳島の気候について」

真冬だと思えない暖かさの2020年2月13日。学生地球温暖化防止活動推進員として活躍している原三都(はらみさと)さんが徳島地方気象台を尋ねて、山口調査官から徳島の気候についてお話しを伺いました。

徳島大学2年生の原三都さんの出身は山形県。冬は雪に囲まれた生活で、多いときには2メートルくらい積もるそうです。雪の降らない徳島には「春と夏と秋しかない」みたいな印象を持っているそうです。

interview01.JPG

平年より暖かい今年の冬

interview02.JPG

原:私の地元では、毎年2月に雪でいろんなものを作って中にあかりをつける「雪灯り回廊まつり」っていうイベントがあるのですが、今年は全く雪がなくて実施できなかったそうです。今年の冬は暖かいのですが、例年に比べて、どのくらい暖かいのですか。

山口:グラフを見てもらうとわかるように、1月は最低気温がほぼ5℃以上となっていて、平年より明らかに暖かい日が続いています。県内各地の12月と1月の平均気温もかなり高い状態が続いていて、冬はまだ終わっていませんが、暖冬であることは間違いないですね。

slide1.png
拡大図 (PNG 252KB)

熱帯夜が1ヶ月増加、冬日が1ヶ月減少。

原:夏もかなり暑くなっていますが、データで裏付けられているのですか。

山口:変動はあるのですが、100年前に比べると、徳島の真夏日は9.1日、猛暑日は2.6日増えています。2.6日というと、たいしたことがないように思いますが、グラフを見てもらうとわかるように、1990年くらいから明らかに増えていますね。

slide2.png
拡大図 (PNG 475KB)

山口:最低気温が25℃以上の熱帯夜も28.4日とほぼ1ヶ月も増えています。これは予測ではなくて測定値なので、実際に増えているのです。

逆に最低気温が0℃未満の冬日は26.3日も減っています。100年前には、徳島でも最低気温がマイナスになる日が1ヶ月以上あったのですね。1980年代でも20日くらいあったのですが、今では数日しかありません。

slide3.png
拡大図 (PNG 353KB)

原:熱帯夜が1ヶ月も増えているなんてびっくりです。冬日は1990年頃からガタッと減っているように見えますね。冬が暖かくなったり夏が暑くなったりすると、どういう影響が出るのですか。

山口:まず農業や漁業への影響が大きいと思いますね。例えば、お米の品質の低下。取れる範囲や量は増えるという予測もあるのですが、品質の低下が懸念されています。農業をされている方にお話しを伺うと、植える作物の種類や、種植えや収穫の時期について悩まれているようです。

原:私の地元では、雪が少なくなってスキー教室ができなくなったりしています。雪灯り回廊まつりや雪灯籠(ゆきどうろう)みたいな雪を使ったイベントもできなくなるのかな、とちょっと心配です。

interview03.JPG

台風の個数は変わらないけど強さが増す

原:次に、雨について伺いたいのですが、大雨が増えていることもデータで裏付けられているのですか。

山口:1日に100mm以上降った大雨の日は、100年で1日、それから1時間に降る雨の量が年間最大だったときの雨量も100年で18mm/1時間くらい増えています。これまで観測された最大値は1時間90mmですね。

slide4.png
拡大図 (PNG 325KB)

slide5.png
拡大図 (PNG 377KB)

原:1時間90mmの雨って想像できないですけど。

山口:私も実際に体験したことはないのですが、身の危険を感じるくらいの雨です。徳島県防災人材育成センターなどで体験することができるので、一度行ってみてはどうでしょうか。

原:去年の夏は台風がたくさん上陸して、いろんなところで被害があったのですが、これからこういった台風は増えていくのですか。

山口:発生する個数や日本に接近したり上陸したりする個数自体は変わっていません。でも台風の強さが増す可能性が指摘されています。

slide6.png
拡大図 (PNG 562KB)

原:私の地元には台風はほとんど来なくて、来ても勢力がかなり弱くなっていたのですが、最近は東北にも勢力が強いままの台風が来ているので怖いです。

徳島は台風がたくさん来るので、この前の台風の時も洗濯機をガムテープで固定したりして初めての経験ばかりで大変でした。

山口:徳島のように昔から台風や大雨の多いところと比べて、関東や東北、北海道みたいに、これまで台風の来なかったところでは、より一層気をつける必要がありますね。

防災情報は色に注目

原:これから被害が多くなることが予想されるのですが、こういった気候変動に適応するために私たちはどうすればいいのですか。

山口:一つは、防災情報を知っていただくことですね。大きく7つに分けていますが、ここにある7つの防災情報のことは知っていますか。

slide7.png
拡大図 (PNG 497KB)

原:うーん、どれも名前は聞いたとこがあるのですが、詳しくは知らないですね。

山口:天気の穏やかな日には、なかなか関心が向かないですよね。でも気象庁のホームページに詳しく載っているので、ぜひ一度見ておいてくださいね。

特に注目してもらいたいのが色です。白は何もなくて、黄色になると注意報、赤は警報、薄紫が土砂災害警戒情報、紫色が特別警報という色分けをぜひ憶えておいてほしいなと思います。

図01.png
拡大図 (PDF 4.19MB)

原:今住んでいるところは、大雨の場合は確か徳島大学が避難場所になっていたと思うのですが。

山口:川や溝に気をつけて、避難所まで安全に行けるルートを確認しておくことも大切です。私も子どもが小さいときには、一緒に歩いて避難所までのルートを確認していました。

原:最近は携帯の機能としてマップ上で現在地や避難場所が出たりするのがあると思うのですが、高齢者の方などで携帯を持っていない人はどうすればいいんですか。

山口:うーん、その場合はテレビでしょうね。それから住民の方同士で声をかけあえる関係を作っておくことも大事だと思いますね。

原:私ももう一度、防災マップを確認したいです。今日はありがとうございました。

取材の後で、施設内を見学させていただきました。これは、桜の開花を調べるための木。気象台の中にあるのは、四国では徳島地方気象台だけだそうです。

interview04.JPG

いろんな計測機器を見せてもらいました。百葉箱はもう使っていないそうです。

interview05.JPG

霜や雪を観測するための道具。何かのおまじないみたいですね。

interview06.jpg

ページトップへ戻る