事例紹介インタビュー 「徳島県における気候変動について」

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師走らしく冷え込んだ2021年12月23日。学生地球温暖化防止活動推進員として活躍している湯佐光希(ゆさみつき)さんが徳島地方気象台を訪ねました。

藤野調査官から徳島県における気候変動の状況についてお話を伺うとともに、柏原さんから、地方気象台が観測に使用している機器の説明をしていただきました。

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平均気温は上昇していく

湯佐:これから気候はどのように変化していきますか。

藤野:温暖化防止対策の状況で、二酸化炭素の排出量も変わりますが、地球の平均気温は上昇していきます。徳島県では過去100年間で1.5度上昇しており、最も温暖化が進む想定(RCP8.5)では、今世紀末には約4度上昇することが予測されています。
また、これから厳しい温暖化対策をしていかなければ、真夏日(最高気温が30℃以上の日)や猛暑日(同じく35℃以上の日)が増加し、冬日(最低気温が0度以下の日)が減少し、日本の四季はより不安定になってゆきます。

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四季の変化について

湯佐:四季の変化に温暖化は関わっていますか。

藤野:今年の夏は長雨が続きました。10月以降は暖かく、平年より高い状況が続いており、温暖化が影響していると思われます。

湯佐:8月には本州付近に停滞した前線の影響により気温の低下、また台風の影響により大雨や強風となりましたが、気候変動により、台風の発生数に変化はありますか。

藤野:台風の発生や上陸数に変化は見られませんが、温暖化により海水温が上昇したことで、強い勢力のまま上陸することが多くなっています。

 

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雨の降り方も極端になる(豪雨と渇水)

湯佐:大雨は県内でも増えていますか。

藤野:徳島はもともと雨が多い地域で、大きな変化は見られませんが、全国的には短時間豪雨の回数は増えているため、県内でも増加してくることが考えられます。
気温が高くなると、空気中の水蒸気が増えるので、降るときは短時間に大量に降りますが、雨がまったく降らない日も増えています。

湯佐:今年7月に土砂災害が発生した熱海市では、どれくらいの雨が降りましたか。

藤野:6月30日から7月5日までの総降水量が500mmを超えました。長い時間、雨が降り続くことで大きな災害が発生しやすくなります。最近の災害級の大雨は、温暖化の影響も大きいと思われます。

 

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気象観測について

予報室は、新型コロナ対策のため、室外からの見学となりましたが、敷地内にある気温や降水量、風速などの観測装置やさくらの開花を観測する標本木を見学させていただきました。
最近は機械化が進み、人が目視で観測することは少なくなっているとのことです。

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さくらの開花が早まる

湯佐:さくらの開花や紅葉の時期はどうなっていきますか。

藤野:徳島県の平均開花日が3月28日頃ですが、全国的に温暖化の影響で早まっており、紅葉の時期は遅くなっています。これは温暖化のほかに、都市化の影響も考えられます。

湯佐:都市化も温暖化につながっているのですか。

藤野:世界の平均気温が過去100年間で0.72度上昇し、日本や徳島県の気温がそれ以上に上昇しているのは、都市化も影響していると思います。

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感想

湯佐:数字的には温暖化の影響は感じませんでしたが、今後の気候変動を予測して、行動していくことが重要だと感じました。

藤野:平均気温の上昇は間違いなく、今後の取り組み次第では、加速度的に温暖化が進行します。

夏季の熱中症も、今後は災害レベルになっていき、豪雨も増加傾向にあるため、こうした気候変動に適切に備える「適応」していくことが重要です。

 数字だけでは、大きな変化は分かりにくいかもしれませんが、徳島地方気象台では、これからも正確な気象情報を伝えていくので、活用してください。

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