「森からのめぐみを体感「橋本山林」にいってみよう」の講座を開催して

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2024年11月23日(土)に、NPO法人環境首都とくしま創造センター(徳島県気候変動適応センターの母体組織)の講座として、「森からのめぐみを体感「橋本山林」にいってみよう」のフィールド講座を開催しました。

「橋本山林」では、スギを中心とした人工林でありながら、様々な森林施業を実施されることで、経済性をもたせつつ、生物多様性の高い森林が成立していること、また、そうした森林が、近年、地球温暖化にともなう気候変動によりリスクが増大している洪水リスクの低減につながっていること、そして、レクリエーションの場にもなっているという、森林の多面的機能が発揮され、そうした機能が評価され、環境省の「自然共生サイト」に、徳島県で唯一、認定されています。

今回のフィールド講座では、「橋本山林」の橋本延子さん、また、橋本さんとご一緒に、「橋本山林」でのツアー等のご対応をされている「野めぐり研究所」の藤園麻里さん、そして、「橋本山林」での植物等の調査に、長年関わられている徳島大学の鎌田磨人先生にご対応をいただき、「橋本山林」を散策しながら、森からのめぐみについての、様々なお話や体験等について、ご対応をいただきました。

本ページでは、講座の企画・運営を行った、NPO法人環境首都とくしま創造センターの職員(布川洋之)が、講座を開催しての感想等について、ご紹介をしています。

山林の雰囲気について

「橋本山林」の中を見させていただくのは今回が初めてで、山林の雰囲気が、これまで見てきた人工林のものと全然違うことに驚きました。これまでみてきた人工林は、林内が暗いため、林床の植物が少なく、そのため、土壌の堆積がなく、地面がむき出しになり、地面に落ちているものもスギの葉ばかりで、植えられたスギも斜めに生えていたりすることが多いのですが、「橋本山林」では、林内に程よく光が入り、また、林床の植生がとても豊かであり、様々な種類の木の落ち葉がたくさん落ちていました。そして、スギはどの木もまっすぐ育っていました。また、全国各地で問題になっているシカによる食害の影響を全く感じませんでした。こうした違いは、「橋本山林」で行われている様々な森林施業(皆伐をしない、弱間伐、混交林を基本とした森づくり、作業道の高密度整備等)によって現れていることが、橋本延子さんのお話を聞いてよく分かりました。

PB230185.JPG↑「橋本山林」の林内の様子。林内に程よく光が入る。スギはまっすぐ伸び、スギ以外の植生も多く見られる。右の女性の方が、橋本延子さん。

「橋本山林」の森からのめぐみを体感

散策の途中の休憩時間。藤園麻里さんが遊山箱をご持参されており、その中に、「橋本山林」のクロモジの木から抽出した成分が入った寒天をご用意してくださっており、参加者の皆様にふるまってくださいました。クロモジの寒天は、とても心地のよい香りがし、食べた後も口の中に香りが残り、とても美味しかったです。また、スギやモミ、ヒノキ等の成分が入ったアロマオイルもご準備してくださっており、参加者の皆さん、その香りを楽しみ、癒されていました。藤園さんのお話を伺うと、植物同士、色々な化学物質を通じてコミュニケーションをしているとのこと。今回、ご準備してくださった寒天やアロマオイルは、そうした化学物質の中でも、人間が心地がよいと思う成分・香りを集めて作られているとのこと。そして、そうした成分・香りは、ゆったりと元気に育った木だと、とても良いということをおっしゃられており、橋本さんの愛情たっぷりで元気に育った「橋本山林」の木々は、とても香りがよいとおっしゃっていました。まさに、「橋本山林」の森からのめぐみを体感させていただきました。

PB230503.JPG↑藤園麻里さん(写真中央)がクロモジの寒天や、アロマオイルをご準備してくださっていました。

PB230444(トリミング).jpg↑藤園麻里さんがご準備してくださったクロモジの寒天。食べた後も口の中に香りが残り、とても美味しかったです。

国土保全上も重要な山林

そして、鎌田先生からは、「橋本山林」が、生物多様性が高いことと合わせて、治水能力が高いことを、森林水文学の視点から分かりやすくお話をしていただきました。「橋本山林」のように、皆伐をせず、混交林により、木がたくさんあると、林冠が雨をはじくこと、また、水が流れ出ていくときも、林床植物があることで、地表面の水が流れにくくなり、洪水のピーク流量が緩やかになります。「橋本山林」のような森づくりが国土保全上も重要であることをお話していただきました。

PB230717.JPG↑「橋本山林」の治水能力について説明をされる鎌田磨人先生

今回の講座では「徳島県地球温暖化防止活動推進員」、「徳島県気候変動適応推進員」、「とくしまSATOUMIリーダー」等、県内の環境についてのリーダーの方々に多くご参加いただきました。今回のフィールド講座を通じて、橋本さんの森づくりへの想い、そして、そうした森づくりからのめぐみを、色々な視点から伝えようとされる、藤園さん、鎌田先生の想いが、参加された方々に伝わり、共感されている様子が伝わってきました。きっと、今回、参加してくださったリーダーの方々が、「橋本山林」のような持続可能な森づくりやその活用の意義を、色々なところへ伝え、拡げてくださると思います。

橋本延子さん、藤園麻里さん、鎌田磨人先生、この度は、ご対応をいただき、誠にありがとうございました。貴重な体験をありがとうございました。

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