1 戦略策定の趣旨
今後の気候変動により、今まで以上に県民生活に関する幅広い分野での影響が懸念されることから、できる限りリスクを低減するため、地域ごとの特性を踏まえた「気候変動適応戦略」を策定します。
本戦略の推進により、気候変動の影響によるリスクや被害を最小限にとどめ、また速やかに回復可能な社会「気候変動を迎え撃つ、強靭でしなやかな徳島づくり」を目指すものとします。
2 戦略の位置づけ
本戦略は、「新未来『創造』とくしま行動計画」及び「徳島県環境基本計画」に定める方向性と整合性を図り、本県における適応策に関する具体的な指針として定めるものです。
3 計画期間
長期的な展望を意識しつつ、平成28年度から平成32年度までの「5年間」の施策の基本的方向性を示します。
4 戦略の方向性
1.地域特性に応じたリスクを低減し、安全安心の社会づくり
全国平均を上回る高齢化や本県特有の自然環境など、地域における脆弱性を踏まえ、現象へのソフト面・ハード面からの対応力を強化し、各分野において安全安心な体制を構築します。
2.影響のプラス面を効果的に活用し、地方創生につながる地域づくり
「関西の台所」として農林水産物のブランド創出や、温暖な気候を活かした観光振興など地域資源を発掘し、地方創生につながる新たな地域づくりを推進します。
5 戦略を展開する基本的視点
1.「適応策」の主流化
県の政策や取組みに「適応」の視点を組み込むことにより、将来の気候変動のリスクを考慮し、影響への対応力の向上を図ります。
2.気候変動の進行に応じた柔軟な対応
専門機関との連携や各分野のモニタリング調査等を通じ、気候変動の進行を継続的に把握し、必要に応じて対策を見直す等、柔軟に対応を進めます。
3.「適応策」に対する理解の促進
気候変動やその影響に関する普及啓発を通じ、県民、事業者等の理解を深め、幅広い主体における適応策への協力、実践を促します。
4.「現場感覚」に即した「適応」の推進
民間団体との協働により、地域で生活している人の「現場感覚」を活かした、きめ細やかな対策を実施します。
6 対象分野
本戦略では、県民生活に関わる次の6分野を対象とします。
- 県土保全:河川・沿岸、山地・森林・農村、インフラ・ライフライン
- 自然生態系:陸域生態系、沿岸生態系
- 水環境・水資源:水環境、水資源
- 健康:暑熱、感染症
- 産業経済:産業経済、観光、消費生活、その他県民生活に関するもの
- 農林水産(食料):農業、水産業
7 横断的取組み
「5 戦略を展開する基本的視点」を具現化するため、各対象分野において共通的に取り組む事項として、次の「横断的取組み」を設定します。
1.施策立案時における「適応策」の組み込み
将来の気候変動に対し、手戻りがなく対策を講じられるように備えるなど、あらゆる施策に「適応」の視点を取り入れていきます。
2.影響に関する情報の集約と共有
気候変動に関する情報やデータを広域的に収集・集約化し、情報等の共有を図ります。
3.県民目線での普及啓発・環境教育の推進
県民、事業者等の各主体が適応策を理解し、日常の行動へつなげられるよう、わかりやすい啓発等を実施します。
4.気候変動対策を推進する人材の育成
気候変動対策に取り組む、地域の実践的リーダーや、専門的な助言・アドバイスを行いうる人材を育成します。